ーー現在はチーフとして社員・アルバイトの教育に取り組まれていますが、どのような指導を心掛けていますか?
後藤:誰かの苦手分野はきっちりフォローする、ということを心がけています。
松屋には調理・接客に関することがすべて記載されたマニュアルがあるので、基本はその内容通りにレクチャーしていくんです。
とはいえ、なかなかマニュアル通りに上手くできない方がいるのも事実。
そこで「あなたはここが苦手だからダメ」と放置するのではなく、「どうすればこの人の課題が解決するか?」と、教育担当としてまずは自分自身で熟考するようにしていますね。
ーー飲食業界にありがちな「背中を見て覚えろ」といった風潮とは180度違う指導法ということですね。
後藤:これは実際にあった例なんですが、食器や調理器具の洗い物が得意ではない新人さんがいたんです。
うまく洗い場を回すことができず、どんどん使用済みの食器類が溜まってパニック状態になっていて。
「どうしてそんな事態になってしまうんだろう?」とその人の動きをよく観察してみると、食洗機に入れる食器の量が少なかったんです。
「もしかして、一度の稼働で洗える食器量を把握できていないのかな?」と思い、食洗機の許容量を教えると一気に業務が改善したんです!
私のような中堅になると、食洗機で洗える量は知っていて当然なんですが、新人さんにとってもそうとは限らない。
視点を合わせて考え指導することの大切さが、とても身に染みた出来事でした。
ーー前回のインタビューに登場した小川さんも社員に寄り添った指導法を大切にしていましたし、松屋自体が1人ひとりを大切に育てる風土なのですね。
後藤:それは間違いないですね。私自身も上司から丁寧かつ優しさに満ち溢れた指導を受けているので、自然と後輩にも同じようなスタンスで接するようになっていると思います。
私は現在ディレクター(店長)を目指していて、そのためには今何をするべきかを上司との毎月の1on1でじっくり話し合っている途中。
「調理を極めながら教育スキルも高めたいし、その上でディレクターになりたいんです!」という欲張りな私の思いも、真正面から受け止めてくれて感謝しかないです!
ーーそのバイタリティ、素晴らしいです!ディレクターに向け、今はどんな取り組みに注力されていますか?
後藤:ディレクターの一つ手前の役職であるトレーナーを目指して奮闘しています。
上司との1on1では「トレーナーになるために、今月はこの内容を頑張ろう!」と目標を擦り合わせ、その達成に向け邁進しているところ。私と上司、同じ熱量で目標に向き合えています。
ちなみに5月の目標は、発注業務などのバック作業を他の社員に教え込むこと。
トレーナーになるための最低条件は「自分の後任となるチーフを育てる」ことなんですが、後藤さん以外にバック業務ができる人がいないよね、という話になって、この目標設定になりました。
ーー後任を育てるとは、またハードルが高いですね!もともと人と関わることが苦手な後藤さんにとって、なかなか難しい課題なのでは?
後藤:実際、最初はかなり苦戦しました。「このタイミングで仕事を振っても大丈夫かな?」など気を遣いすぎて、仕事を人に任せられないタイプなので余計に…。
でも今は「今日はこの仕事とこの仕事をお任せします!」と朝イチに言っちゃうことで、その人の好きなタイミングで仕事をこなしてもらうようにしています。
これで自分は声かけの気遣いで感じる精神的負担も少なくなるし、相手は仕事を自由にできてWIN-WINだなって(笑)
こんな工夫の繰り返しで、少しずつ目標達成に向けて頑張っている最中です!