ーーお店をマネジメントする立場として、社員とアルバイトへの指導ではどんなところを意識していますか?
小川:2つあって、1つ目は「その時の勢いで指摘しないこと」。これは先ほど話した、私が池田駅に配属された時の駅長から教えていただいたことです。
私はスピード命、しかも職人気質な人が多かった前職時代の影響で、気になることがあるとついついその場でバッと言ってしまっていたんです。
それを指摘されてからは、人前で叱責するなど周囲の空気に悪影響を及ぼすような行為は封印。
今は年に3回ある社員1人ひとりとの面談で、その時の課題や改善点を共有しています。
ーー17年間続けていた指導法を変えられる小川さんもすごいです…!2つ目はなんでしょうか?
小川:2つ目は「すべての行為がお客様の感動につながるように」という姿勢。お辞儀1つ、お肉の盛り付け方1つでも、なにかがお客様の心へと響くように取り組むべき、と伝えています。
「マニュアル通りに上手くできないんです…」と挫けてしまいそうになる人もいますが、そこで「何でできないの?」「もっと頑張れるはず」とは言いません。
今任されている仕事が隠し持っている楽しさに気がつくことができれば、一気に成長できると思っています。
でもそれって、私が教えるんじゃなくて自分で気づいてこそ。なので私はそこに気づける最後の一歩を後押しする、そんなスタンスで個人の成長を促しています。
ーーなるほど。あえて介入しすぎない、少し後ろから見守る立場で成長を促していると。
小川:とはいえ、私もまだまだなんですけどね(笑)実はめちゃくちゃ数字に弱くて、計算スピードも遅いくらいなんです(笑)
でも、「楽しく仕事をしたいなぁ」という気持ちは誰にも負けません。やっぱり、まずは自分が楽しまないとお客様も楽しめないじゃないですか。
「この店員さん、笑顔は少ないし声も小さいしで、なんだかしんどそうだな〜」と感じたら、どこか心の底から食事を楽しめないと思うんです。
私自身、お店のリーダーとして1番悲しいことは、社員やアルバイトが楽しくなさそうに働くこと。お客様と従業員、みんな同じくらい楽しんでほしいから、常に「どうしたらみんなが楽しく働けるお店をつくれるだろう?」と模索しています。
ーー悲しみの原因が「売上の低下」ではなく「笑顔がないこと」とは…。小川さんが北村さんお墨付きである理由が分かります。
小川:自分としてはまだまだだと思っているのですが、そう言っていただけるのはとてもありがたいです!
松屋の温かさって、こういう仕事の不出来だけで判断しない経営陣にもあると思っていて。
多分、私よりも売上にストイックで仕事が完璧な人ってたくさんいると思うんです。
それでも私を評価してくれる理由は、きっと「お客様の笑顔を1番に考えている」からなのかなと。
実際、私としてもめちゃくちゃ仕事ができるけど自分本位な人よりは、少しスキルが足りなくてもお客様の笑顔が第一優先!という人にスポットを当てたいな、と思っています。
ーー小川さんのもとで働いていると、常にポジティブな気持ちで働けそうです!
小川:私もそうですが、やっぱり人って褒められたいじゃないですか(笑)
苦手な分野を克服することも大事ですが、どちらかというとその人の得意分野をもっともっと伸ばしていきたいですね。
実際、松屋のエリアマネージャーもそういう考えの方ばかりですし、誰かの弱点をカバーしあえるような関係性を築けたら最高だなぁ、と常々考えています。